年々増加傾向にあるベトナム人富裕層の実態

ベトナムは経済発展が進み、平均的な国民の所得が年々増加している事はよく知られています。しかし、他の東南アジア諸国と同様に富裕層の存在が非常に特徴的であり、ベトナム進出を考える上でその実態を把握しておくことは非常に大切だと言えます。

こちらの記事では、ベトナムの富裕層の実態にスポットを当ててみました。


ベトナム経済の世界における位置づけ

国際連合の専門機関であるIMF(国際通貨基金)によると、2022年のベトナムの国民一人当たりのGDPは推定値で4,087米ドル、世界で124位に位置しています。(日本は33,822米ドルで同31位)しかし毎年この数値は増加しており、まさに高度経済成長期にあると言えます。

資料:GLOBAL NOTE 出典:IMF

 

富裕層人口の現状と今後の見通し

ベトナムにも富裕層が一定数存在しています。GDPの増大に伴い、これらも増大すると見込まれています。現在の状況と今後の見通しはどのようなものでしょうか。イギリスの不動産大手「ナイトフランク (KnightFrank)」の「ザ ウェルス レポート (TheWealthReport) 」が公開している情報をもとに見ていきましょう。

同レポートは資産額100万ドル以上を「富裕層」、資産額3000万ドル以上に関しては「超富裕層」として情報を取りまとめています。

超富裕層 (資産額3000万ドル以上)

2017年から2021年までの5年間で81.5%の増加を見ましたが、新型コロナウイルスの影響もあり、2022年は前年度比で減少に転じました。しかし今後5年間で22.3%の増加が予想されています。

出典:TheWealthReport

富裕層 (資産額100万ドル以上)

2017年から2021年までの5年間で70.8%の増加を見ました。2022年は前年度比でほぼ横ばいとなっています。今後5年間の見通しは60.4%と大幅な増加が予想されています。

出典:TheWealthReport

これら富裕層はベトナム財界の成功者や一部の公職にある人たちが形成していると思われます。さらに、海外の親族とのつながりを生かした商売で成功した人々も含まれているようです。このデータは一例であり、資産額の線引きを下げるとさらに多くの人が富裕層に分類される調査結果もあることをご承知ください。

キーワードは「ラグジュアリー&カスタマーエクスペリエンス」

ベトナム人富裕層はラグジュアリーさを重視し、価格よりも体験価値を重視しています。体験価値(カスタマーエクスペリエンス)とは、顧客が商品やサービスを通して「満足」や「喜び」、「感動」に至るまでの心理的感情を評価する言葉です。インターネットの普及に伴い、消費に対しても意味を見いだすことに価値感を持つようになっているのです。「金はあるがなかなか使い道がない。良いもの、納得したものにお金を使いたい」という傾向にあるようです。では日本の製品はどのように受け止められているのでしょうか。

 

品質にプラスアルファの何かを

ベトナム人は総じて「日本製は信頼できる」「長持ちする」と言います。品質の高さについては十分に認知されているのです。しかし日本製品はラグジュアリー感が非常に弱いため、ベトナム人富裕層の気を引く面で若干弱いと言わざるを得ません。ラグジュアリー感もカスタマーエクスペリエンス向上のために必要なファクトと言えるでしょう。さらに自社の強みを生かしたプラスアルファの訴求ポイントがあるでしょうか。

 

まずは顧客を知ることから

価値観の異なる国での商品展開には「郷に入っては郷に従え」ということわざにあるとおり、まずはその国の顧客を知ることがスタートラインとなるでしょう。NKCではそのようなニーズに現地ベトナム人スタッフと一丸となってお答えします。