ベトナム電子商取引法:ライブコマースとアフィリエイトの規制ポイント解説
ベトナム電子商取引法:ライブコマースとアフィリエイトの規制ポイント解説
ベトナム国会は2025年12月10日に電子商取引法を可決し、2026年7月1日施行を予定しています。新法は従来のEC規定を大幅刷新し、ライブコマース(ライブ販売)とアフィリエイト(成果報酬型マーケティング)を明文化・規制対象に含めました。
なぜこの法律が重要か
ベトナムのEC市場は急成長を続け、TikTok ShopやFacebook Liveなどライブ販売・インフルエンサーを通じた取引が主流になりました。
しかし、従来の規制(Decree 52/2013など)はこうした新モデルを想定しておらず、透明性・消費者保護・税務管理の面で抜け穴が存在していました。新法はこれらのギャップに対応するために制定されたものです。
ライブコマース(Live Commerce)の主な規定
✔ ① 身元確認義務
ライブ販売を行う者(個人/企業問わず)は、**国家デジタルIDシステム(VNeID)**による身元確認が義務化されます。
これは国内外の売り手に均等に適用され、プラットフォーム運営者も確認責任を負います。
✔ ② 情報透明性と消費者保護
ライブ販売者は以下を正確に表示・説明する必要があります:
- 商品・サービスの品質・原産地
- 価格・プロモーションの詳細
- 保証・返品条件
虚偽表示や誤認を与える行為は禁止され、違反時には配信停止や削除措置が可能になります。
✔ ③ プラットフォーム側の監視義務
ECプラットフォームは以下を実行する義務を負います:
- ライブ配信内容のリアルタイム監視
- 配信映像・取引情報の最低1年間の保存
- 規制違反があれば即時停止・削除対応
プラットフォームは単なる“場提供者”ではなく、法令遵守の共同責任者として扱われます。
🔍 アフィリエイト(成果報酬型マーケティング)の主な規定
✔ ① アフィリエイターの身元確認
アフィリエイトリンクや紹介行為によって報酬を得る者も、VNeIDまたは適法な身分確認が義務化されます。これにより個人KOLやインフルエンサーにも法的責任が生じます。
✔ ② 違法商品・リンクの管理
プラットフォームやアフィリエイトサービス提供者は:
- アフィリエイト活動の監視
- 違法商品・サービスへのリンクの即時削除
- 消費者保護に反する情報の遮断
を行う必要があります。
✔ ③ 虚偽・誤認情報の禁止
アフィリエイターは商品・サービスに関する虚偽・ミスリード表現を行うことが禁止されます。
これには商品機能・価格・プロモーション内容を誤って伝える行為も含まれ、違反すると法的制裁の対象となります。
何が変わるのか(CXOが押さえるべきポイント)
| 項目 | 旧ルール(Decree 52等) | 新ルール(2026 EC法) |
| ライブ販売の法的位置付け | 明確でなかった | 正式に規制対象 |
| アフィリエイトの法的位置付け | ほぼ自由運用 | 身元・削除義務・監視義務 |
| 身元確認 | 基本なし | VNeIDによる確認義務 |
| プラットフォーム責任 | 形式的 | 積極的監督責任 |
| データ保存 | 任意/不明 | 最低1年保存義務 |
ビジネスへの影響
- インフルエンサー/アフィリエイター契約は法対応版に刷新が必須
- ライブ販売は証明書類・品質保証を標準化
- プラットフォームは監視・削除体制の技術投資と運用構築が必須
- 違反リスクは業務停止・罰則の対象
この新法は、規制強化という側面だけでなく、信頼性の高いマーケット形成という長期的なビジョンを持っています。法対応の先行投資は、競争優位になります。
まとめ
ベトナムの電子商取引法は、ライブコマースとアフィリエイトを明確に規制対象化し、消費者保護・透明性・責任主体の明確化を図っています。
実務レベルでは単なるマーケティングや販売行為としてではなく、法令遵守フレームでの設計・運用・監査が不可欠になりました。



