日本式とベトナム式 ― 商談プロセスの“決定的な違い”

日本式とベトナム式 ― 商談プロセスの“決定的な違い”

 

「日本のやり方で、ベトナム企業に営業しても話が前に進まない」

これは、現地で営業をしているとほぼ確実に直面する壁です。

 

理由はシンプル。

商談の順番そのものが、日本とベトナムでは真逆だからです。

 

本記事では、

  • 日本型の商談プロセス

  • ベトナム型の商談プロセス

  • なぜ日本企業の営業が刺さらないのか

  • どう設計を変えるべきか

を、実務目線で整理します。

 


日本の商談プロセス:まず「会って説明」

日本では、以下の流れが“常識”です。

  1. まずアポイントを取る

  2. 会社紹介・商品説明を対面で行う

  3. その後、資料を送付

  4. 見積もり提出

  5. 取引条件を詰める

この前提にあるのは、

「会って説明すること=信頼構築」

という価値観です。

 

資料や見積は、

会って話を聞いた後の補足資料という位置付けになります。

 


ベトナムの商談プロセス:まず「資料と条件で選別」

一方、ベトナムは完全に逆です。

  1. 最初に

    • 取引条件

    • 価格

    • 見積資料

    • 場合によってはサンプル

  2. それを見て「話す価値があるか」を選別

  3. 関心があって初めて商談

  4. 商談すら、オンラインでもオフラインでも一回もミーティングはせず、チャットだけで完結するケースも多い

  5. 契約・支払いまで非対面で終了

 

ここで重要なのは、

「会う=検討開始」ではないという点です。

ベトナムでは、資料と条件を見た時点で、ほぼ勝負は決まっています。

 


なぜ日本企業の営業は通らないのか

多くの日本企業がやってしまう失敗はこれです。

  • 「まずオンラインで顔合わせだけでも」

  • 「詳細は会ってから説明します」

  • 「見積は商談後に」

 

ベトナム企業からすると、内心こう思っています。

条件も価格も分からないのに、なぜ時間を使って会う必要がある?

彼らは冷たいのではありません。極端に合理的なだけです。

 


ベトナムでは「会わない営業」が前提

日本では「商談=対面」が当然ですが、ベトナムでは必ずしもそうではありません。

実務レベルの取引は、

  • チャットで条件調整

  • PDF資料で内容確認

  • スタンプ一つで了承

  • そのまま送金

という流れで完結することも珍しくありません。

 

日本的感覚では

「本当に大丈夫なのか?」

と不安になりますが、ベトナムでは通常運転です。

 

むしろ現地では

「なぜわざわざ会う必要があるのか?」

という感覚の方が一般的で、アポイントを取っても、移動中や車の運転中に携帯電話感覚で商談が進むこともあります

 

なお、接待や関係構築を目的とする場合は別です。

実務の商談と、関係性づくりの場は明確に切り分ける──これがベトナム営業の基本です。

 


ベトナム市場で成果を出すための設計変更

日本式を捨てろ、という話ではありません。

順番を変えるだけです。

必須ポイント

  • 最初から

    • 価格帯

    • 最小ロット

    • 支払い条件

    • 納期を明示した資料を用意する

 

  • 会う前に

    「Yes / No が判断できる情報」を渡す

  • 商談は

    • 説明の場ではなく

    • 条件調整・最終確認の場と位置付ける

 

これができると、

  • 無駄な商談が減る

  • 温度感の高い相手だけが残る

  • 意思決定が異常に早くなる

という、ベトナム市場らしい展開になります。

 


まとめ:重要なのは「会うこと」ではない

日本では「会って説明すること」が重視されます。

ベトナムでは「会わなくても理解できる資料」が重視されます。

 

この違いを理解せずに営業すると、

  • 反応がない

  • 返事が来ない

  • 商談に進まない

という状態が続きます。

 

逆に言えば、

資料設計と条件提示を先に整えるだけで、

ベトナム営業は驚くほどスムーズになります。

 

文化の違いは障害ではありません。

設計ミスを修正すれば、武器になります。

——

実務で詰まっているなら、まず「順番」を疑ってください。

そこが、最初の改善ポイントです。