ベトナムEC販売の現状① - ベトナム越境ECが実現出来る可能性
ベトナム・Eコマースについての現状
インターネットの普及に伴い、買い物の手段は実店舗からオンライン店舗へと変化しています。これはベトナムでも同様で、ベトナム電子商取引協会の報告によると、ベトナムのEコーマス(電子商取引)による売上高は2019年には100億USD(約1兆0700億円)の規模に達しており、2030年までには430億USD(約4兆6000億円)に達する見込みと言われています。
ベトナムのスマートフォンの普及率は国民の60%を超え、この割合は日本とほとんど大きく変わらないと言われています。その理由として、もともとベトナムのショッピングモールやカフェ・レストランなど、至る所でフリーWi-Fiを使える環境があり、SNSなどでコミュニケーションを図るだけでなく、YouTubeを見たり、カラオケをしたり、ゲームなどの娯楽を楽しむ為に、低所得者であったとしてもスマートフォンを1台所有するのはごく当たり前になっています。
以前からネット販売は存在しており、TikiやSendoといったベトナム初のECモールなども複数存在していました。その後、LAZADAやSHOPEEといった海外からのサービスも参入して来ましたが、全体的に粗悪品を売る店舗があったり、配送業者のトラブルも多いなど、以前はネット販売に対する信頼感がないゆえに、利用する人はそこまで多くありませんでした。また、ベトナム人はクレジットカードを所有する人が少なく、現金決済主義の人が多かった為、それもかつてEコマースが発展する上での障壁となっていました。
しかし、コロナのパンデミック期間中にベトナムで実施された社会隔離政策により、実店舗での買い物が大幅に制限され、ベトナム国民の多くはネットで商品を注文する事を覚えるようになりました。その便利さに気づき今では買い物をする人の数は圧倒的に増加しました。
近年では、不良品や発送ミスなどがあった場合には返品対応をしてくれるサービスも増えて来ており、Eコマース自体のサービス品質は大幅に向上しました。また、銀行各社のQR支払いや、MOMOやVNPAYといった電子決済も普及して来たため、ネットでの買い物が益々便利になって来ています。(最近の若い人は、実店舗の決済でも電子決済を好んで利用するようになっています)
日本からベトナムへの越境ECについて
このようなEコマースが発展してきている事から、中国や他の国のようにベトナムでも日本から越境ECを使って販売出来るのではないかと期待も高まっています。
結論から言うと、ベトナムへの越境ECについては実現可能です。しかしながら、実際に越境ECをやろうとすると解決しなければならない様々な問題に直面します。
ベトナムへの越境ECが難しい理由:
① 商品を個別に配送した時のコストが非常に高い
② たとえ、プレゼント品や個人輸入で購入した商品であっても、商品を受け取る際に関税を支払わなければならない場合がある。
③ ベトナムから日本への送金が非常に複雑で困難
④ 日本語とベトナム語の自動翻訳が、英語や中国語などの言語と比較すると、正確さにばらつきがあり、顧客対応に苦労する。
⑤ そもそも日本人とベトナム人では、ECで買い物する方法に決定的な違いがある。
①から③については、配送や決済上の問題など物理的な問題です。④の自動翻訳については、最近少しづつ改善はされて来ていますが、まだ十分ではありません。
特に注目して頂きたいのは、⑤のオンライン販売の使い方が日本とは違うという点です。ベトナムへ越境ECをしたいと仰る方の多くは、この部分についてはあまり理解出来ておらず、日本と同じようにベトナムで販売したいと思っておられる方が非常に多いので、特に気をつけて頂きたい部分です。
その点については、次の記事で解説致します。